「…ただいま…」

このシチュエーションに軽いめまいを覚えながら、自分は眉間に手を当てた。

「いやいや、おキレイなお母さんだね〜深谷君」

「あらあら〜」

母さんは嬉しそうに『あら』を連発した…

「お帰りなさい、晃ちゃん。こちらは?」

「あ、オレの遠い親せきです。たまたま遊びに来てて」

ハルがすかさず、フォローを入れた。

「まぁ、そうなの?晃平の母です。息子がお世話になりました」

「いえいえ〜こちらこそ、お世話になりました〜」

「え?」

「あ〜深谷君のお母さん、何か焦げるニオイしませんか?」

ハルが機転をきかして言った。

「あら本当!大変、おなべかけっぱなしだわ〜」

そう言うと、 母さんはあわてて家の中に入って行った。

「はぁ…ありがとう、ハル…」

「ははは…何かボロ出そうだから帰るよ」

「え〜?もう帰るの?まだお母さんと、お話したいのに〜」

山形さんが名残おしそうに、家の中をのぞき込んだ。

「…ハル、頼める?」

「OK〜じゃ、帰りますよ〜山形さん」

「え〜」