「…暑い…」

自分は眉をしかめると、山形さんを見た。

正確には、暑苦しいだ…

「知らないんですか?山形さん、深谷君は天然のたらしなんですよ〜?」

「あ〜何か分かるわ〜ロイズって現代にいたら、女泣かせかもね〜」

「でしょでしょ?ぜったい将来有望ですよ〜」

「ロイズもフレア命じゃなければ、モテただろうにね〜」

「へ〜そうなんですか〜?」

と、返すハルの言葉は、どこかうつろだ…

やっぱり前世の記憶を思い出せないのを、気にしているのだろうか…



夕日の中をゆっくりと三人で歩いていたら、気づくと家の前に着いていた。

玄関の外灯がともり、台所の明かりが外にもれている。

母が自分の帰りを心配しながら待っているのが、何となく分かった…

「はぁ…」

思わず、ため息が出ていた。

ここ最近の心労が、ドッと出た気がする…

「へ〜ここが深谷君の家か〜」

山形さんが、家を見上げて言った。