「本当は、教師になるつもりだったんだけどね〜」

「へ〜そうだったんですか〜」

「…面倒なので、そのウソやめて下さいね…」

自分は、のちのちの事を考えて釘を刺した。

「え〜?じゃあ何て言おうかな〜…あ、ハル君の彼氏とか?」

そう言って山形さんはハルの肩に手を回すと、自分をイタズラっぽくのぞき込んだ…

最近気づいたんだけど…

山形さんは、自分の反応を楽しんでいるような…いや、初めからか…

「彼氏って何ですか?ムリがあり過ぎですよ〜ははは〜」

ハルは、さりげなく肩に回された手をどけると言った。

「はぁ…せめて、親せきのお兄さんにして下さい…」

「え〜まとも過ぎて面白くないな〜」

「面白さは、いりませんから…」

「ははははは〜」

楽しそうに笑うハルを見て、自分は気が抜けてしまった…



二人が打ち上げの話で盛り上がり始めたのを横目で見ながら、自分はそっと左の手首にふれてみた。

ウロコのない手首の感触をしっかりと確かめて、改めて胸をなで下ろす…