「じゃあ、明日も皆さん集まるという事で…取材のご協力よろしくお願いしま〜す♪｣

山形さんが胸に手を当てると、深々とおじぎをしました。


皆さんが外に出ると、夕暮れ時の金色の空が広がっていました。

見送りのため用務員室の玄関に立っていると、戸川先生がふり返って言いました。

「…では、高田さん、今日はご馳走様でした｣

「どういたしまして…どうぞお気を付けて、お帰り下さい…｣

「お疲れ様でした〜｣

山形さんもふり返ると、大人の挨拶をしました。

「さようなら高田さん、また明日も来ま〜す｣

生島君が笑顔でふり返る隣で、深谷君が小さく頭を下げました。

「さようなら…色々ありがとうございました…｣

「さようなら…お母さんに、よろしくお伝え下さい…｣

何気なく言った言葉に、えっ？という顔を深谷君がした気がします…



皆さんが帰られた後、一人その事を思い出してみて、自分でも首を傾げてしまいました。

ﾞお母さんに、よろしく…？ﾞ

どうして会った事もない深谷君の母親に、よろしくなのでしょうか…？


後にこの時の意味が、少し先になってから分かる事になるのですが…