「ほほほ…通り道ですから遠慮せず〜」

「いやいや〜じゃあ深谷君、一緒に帰ろっか〜?」

山形さんはナゼか戸川先生の申し出を断ると、帰り支度を始めました。

「残念ですね、皆さんもうお帰りですか…夕食を頼もうかと思っていたのですが…」

私はちょっとがっかりして、帰り支度を始めた皆さんに声をかけました。

「すみませんね、高田さん…お心づかいありがとうございます」

先生が、丁寧に断りました。

「ははは〜さっきのは、ブランチだったんですね〜」

山形さんが陽気に笑って、お腹を押さえました。

「あ…お金…」

小さな声で言ったのは、深谷君です。

「そうでした。高田さん、おいくらですか?」

山形さんが、サイフを取り出しながら言いました。

「いえいえ、今回も私のおごりという事で…ご馳走させて下さい、一応年長者ですから」

「それではありがたく…ご馳走になりましょうかね〜?」

先生が和やかに微笑むと、皆さんの顔を見渡しました。