「うん…それに、文字がこれで復活するとしたら、ちょっと子供だましな気がしませんか?」

「そう言われれば…」

山形さんは、私から戸川先生に向き直るとたずねました。

「先生、このシステムに、かんでないんですか?」

「う〜ん…思い出せませんね〜たぶん私は、そのプログラミングにかんでない気がします…私でないとすれば…」

「…図書館長…」

ボソッと呟いた深谷君に、満足げに微笑んだのは戸川先生でした。

「そうですね〜私も同意見です…おそらく海底脱出の時に、彼女がプログラミングして行ったのかもしれませんね〜」

「あの状況下で、そんな事に気が回るとは…」

私はおぼろげな記憶をただよいながら、そんな事を口にしていました。

前世の記憶はいつも断片的で、イメージ的です…

「…僕らはその時、海底にいなかったからね…」

山形さんが、生島君を見て言いました。

「え?そうだったんですか?」

生島君は、前世の記憶をあまり思い出していないようで、ちょっと寂しそうです…