「それは深谷君の協力次第かな〜ってウソ!ウソです!!」

深谷君に一にらみされて、山形さんは大急ぎで訂正しました。

「確かに…山形さんは、人の記憶も見えちゃうんですものね〜何を書かれるか心配ですよね〜」

戸川先生が人差し指を頬に当てると、首を傾げました。

「検閲させて下さいね〜?」

ほほほほ…と、可愛いらしい表情とは裏腹に、言葉はキビシイものです。

「ははは…了解しました…」

その場が和んだ所で、私は文字の消えた本を集めて、ちゃぶ台の上に乗せました。

ひんやりと良く冷えた本や、水気をふくんだものもあります…

「ありがとうございます、高田さん…そう言えば、もう一つ試してなかった事がありましたね〜…」

先生はそう言うと、自分のバックから小さなビンを取り出しました。

「何ですか?その小ビンの中身は」

私は気になって、たずねました。

それは無色透明の液体で、ラベンダーの香水とかではなさそうです…

「何ですか、先生?魔法の液体ですか〜?」

山形さんも興味津々で、小ビンをのぞき込みました。