「…あの扉、良く出来ていますね…」

「そうですね…何年か前に、ドラ〇もんのパロディー劇をした時に作ったらしいですよ」

「あれ、゙どこでもドア゛だったんですか…」

「ええ、戸川先生があれを見て、いたく気に入りましてね」

「…あの場所、双子水晶を埋めるの大変じゃなかったですか?」

「ええ、床を引っぺ返すのは骨が折れそうだったので、外に埋めました」

「なるほど…」

感心しながら、用務員室の間取りを思い出してみた。

用務員室の台所の壁の向こうは、外になっている…

夜中、三人の大人が土を掘り起こして埋めている様子を、想像してみた。

今朝、用務員室に行ってみると、張りぼての扉が立てかけてあったという訳だ…

「…再発動は、大丈夫でしたか?」

「ええ、先生が、ちょちょいといった感じで…」

「だいぶ、記憶を思い出しているんですね…」

「そうみたいですね…ですから大丈夫ですよ?きっと今日中に、戸川先生が何とかしてくれますよ」

高田さんはそう言って、優しく微笑んだ。