ハッと、自分の存在を思い出したハルが、こちらをふり向いた。

「あははは…悪い!お風呂、この突き当たりにあるから使ってよー、洗たく物は洗たく機に放り込んどいて?帰るまでには洗っとくから」

「…え、ハルは?」

「先使ってー、オレはこの子達の手入れがあるからさー」

と言いながらも、リビングの隣にある台所へ行き、水をくむ音がする…

何やら、忙しそうに草花の手入れをするハルをボンヤリ見てから、ありがたくシャワーを使わせてもらう事にした。



シャワーで海水を洗い流し風呂場を出ると、タオルと着替えが置いてあった。

大きめなTシャツとジャージをまくって着込み、廊下へ出ると目の前の洗たく機が、音を立てて回っていた。

「ハル…?」

リビングへ行くと、ハルはまだ帰って来てなかった。

窓から夕日が差し込んでいた。

手入れ済みの植物達が少し持ち直したらしく、夕暮れ時の風にゆれている…

リビングには大きな赤いソファーがあって、その前に置いてあるガラスのローテーブルの上に、置き手紙と電話の子機と、良く冷えていそうな缶コーラが水滴を付けてのっていた。