ははは…と人事だと思って、山形さんがハルに自分の心情を説明した。

「え〜?こんないたいけな少年をパシリになんて、さすがにあの二人でも、しないんじゃないですか?」

「甘いねハル君は〜あの二人の子供だった自分が言うんだから、本当だって〜ねぇ?深谷君」

自分は暗い顔をしながら、深くうなずいた…

「ほらね?」

ふむ…と、何となく納得したハルが、自分を見ると穏やかに言った。

「大丈夫だよ、深谷君」

「…ありがとう、ハル…」

いったい何が大丈夫なのか分からなかったが、とりあえずお礼を言う事にした…



「あ、着いた」

あまり内容のない会話をしているうちに、地下5階の図書室の前にたどり着いていた。

自分は一応、言われた通り出口用の扉の前に立つと、扉に手をふれてみた。

「はぁ…」

反応のなさに、思わずため息が出る…

「やっぱりダメだったね〜」

ハルが自分の背後から手を伸ばすと、扉にふれた。