「ははは…えっと…ゲイ、違いますから…一応ノーマルですから…」

何だが、色々な気力が抜けてしまった…

万一など、まずありえないという事を、僕が一番知っているじゃないか…

元・父親に手を出す根性など、何度生まれ変わっても、あるハズがない…

そんな恐ろしい事をするぐらいなら、死んだ方がなんぼかマシな気がする…

「じゃあ修子ちゃん、山形さんお願いしますね〜お先に〜」

ハル君は爽やかに手をふると、深谷少年と仲良く帰って行った。


「…高田さん…戸川先生って、ムダに可愛いですよね?…この人がルドだったって思うと、悔しくないですか?」

僕はふり返って目が合った高田さんに、思わず言わずにはいれなかった…

「ははは…そうですね…最近ふと、私も思う時がありますかね…」

高田さんは紳士的に微笑むと、戸川先生の顔を見た。

「ふふふ…二人とも、そんなに褒めても何も出ないですからね〜?」


…とてもフクザツな気分になりながら、僕は高田さんと現実の残酷さを分かち合うのだった…