「…後で教えてくれる?」

僕はニヤリとしながら、こうたずねると、少年は苦み走った顔で仕方なくうなずいた。

僕が満面の笑みで答えると、深谷少年の手がゆっくりと離れていった。

「何を言いかけてたんですか〜?山形さん」

戸川先生が柔和な笑みを浮かべ、たずねてきた。

「いえ、僕の勘違いだったみたいです…ねぇ、深谷君?」

「…」

暗く下を向いて、少年は黙り込んだ…

「何々?気になるな〜あの時の言葉って何?深谷君、覚えてる?」

ハル君が少年の顔をのぞき込みながら、無邪気にたずねた。

下を向いたまま、深谷少年は首をふって答えると、この話題にふれられるのを拒むように、別の事を口にした。

「…双子水晶…またここに埋めますか?」

全員がハッとして、箱の中の水晶を見つめた。

気づくと陽はだいぶ西へ落ちて、辺りは黄昏色に染まり、ひぐらしの声が聞こえていた。