「うん…デジャブ?みたいな感じがして…あの宮殿がぜんぜん壊れてなくて、海底都市が見えた…それと男の人…」

「…自分は女の子が見えた…」

しばらく二人とも黙り込み、さっきの感覚を思い出していた。

もしかしたら…自分達は遠い昔、海底に住んでいたのかもしれない…と…

その時だった…

先を急ぐ自分達を見つけたイルカの群れが、いっせいに話しかけてきた。

『わーーにんげんだーー』

『エイさんたちーそれ、かいてー人ーーー?』

『おう、そうけ、そうけ〜めずらしかろ〜?』

『うん、うん、スゴイね、スゴイね、どこいくのーー?』

イルカの言葉は明るく、子供のような声だった。

『りくじゃよー、いそいどるそうじゃーー』

『へーへーへー…じゃ、ぼくらにのれば?』

『ぼくらのほうが、ハヤイよーきっとさーー』

『おーなるほど…どうする、お二人さん?』

「ありがとうございます、それは助かります。ね、深谷君?」

答えたのはハルで…時計をチラリと見ると、自分に聞いてきた。

「…ぜひ、お願いします」