しばらくすると平地が見えてきて、光の差す先に、その宮殿は建っていた。

「あれは…?」

…それはギリシャ神殿を思わせるような白い柱が立ち並ぶ作りで、かなり壊れていたけど中央の階段や屋根の装飾に、水晶らしき物を使っているキレイな宮殿だった。

「おー海底宮殿だーー!」

「もしかして…フレイヤース宮殿?」

『さぁ〜わからんけど、ずっとむかしからあるんよ〜』

そのまま宮殿の上を、ちょうど横切ろうとした時、その不思議な感覚は訪れた…

一瞬…目の前が白いスクリーンのようになり、金色の長い髪をゆらした少女の姿が浮かんできた。

そして自分に向かっでロイズ゛と言った。

ひどく懐かしくて、泣きたいような気持ちがあふれてくる…



「…深谷君、深谷君、大丈夫?」

「う…ん、平気…」

どれぐらい時間が経ったのだろう…?

風景はだいぶ変わっていて、宮殿はもうどこにも見当たらなかった…

「…今、何か見なかった?深谷君…」

「もしかして、ハルも見たの…?」