渡りに舟とは、この事だ…

大きなエイは自分達が背中に乗っていても、実に優雅に海の中を泳いで行く…

思ったよりも乗り心地は良く、スピードもあった。

「助かりました、ありがとう…」

心の中で、自分を乗せてくれているエイに話しかけた。

『い〜んよ〜人間をのせるなんて、はじめてじゃけんね〜じまんしちょるわ〜』

『そ〜け、そ〜け』

ハルを乗せているエイも、体をゆらして笑った。

子供のエイや、数頭のエイが先頭をきって泳ぎ、水の帯を作って行く…

この帯の中を泳ぐ方が楽なんよ〜と、教えてくれた。

「深谷君…キレイだねー…」

「うん…」

目の前に広がる海底の世界は、どこまでも青く…

今日は良く晴れているのか、太陽の光が差し込んで、海底の砂地をキラキラと照らしていた。

テレビでしか見た事のない魚達の楽園が、そこにはあった。

七色のサンゴが海底を色どり、花畑のようだね、とハルが言った。