イースという名前が出た時点で、何かあきらめのようなものを感じた。

科学者のわりに、おおざっぱな所がある彼女のやる事と言ったら、一つしかない…

「でね〜深谷君、お願い出来ますか?ここの所にですね〜かかと落としを一つ、お願いします」

「…」

先生は自分達が立っている床を指差して、ニッコリと微笑んだ。

良く見ると、自分達は二メートルほどの大きさの円が描かれた、結界の中に立っていた。

目に見えない結界が筒状にはられ、周りの世界と区切られている…

意味はあるのだろうか…

「…かかと落とし…ですか?」

…なぜ…?

「ええ〜速度が大切なので、思い切りお願いしますね〜」

足元を見ると、自分のはだしの足が目に入った。

しかし、どっかで聞いた事のあるセリフだ…

「…先生の方が、良くありませんか?」

先生の足には、潜水用のゴム製のサンダルが見えた…

「いいえ〜やはりここは、男子の方が良いかと…」

「…分かりました…」

この人に勝てるとは思えない…