「いえいえ…皆さんと、故障した扉の前で別れた後、私は考えました…ルドなら、このピンチをどう乗り切るだろう？ってね〜深谷君は、すっかりあきらめていましたけどね…｣

ふふふ…と笑って、先生が自分を見た。

その顔を見ながら自分は、あの時の先生を思い出していた…

先生であって、先生でない…大魔法士ルドの記憶を持った、フレイヤース王国・三本柱の一人の姿を…




自分と先生は、ハル達が立ち去った後、どうする事も出来ずに、故障した扉の下から動けずにいた…

「…先生？｣

ラセン階段に腰を下ろして、目を閉じてしまった先生の顔を見た。

その表情はとても落ち着いていて、ここにいる人物が先生ではなく、記憶の中に存在する大魔法士の姿と重なって見えた…

黙ってその姿を見つめたまま、どれくらいそうしていただろう…

不思議と気持ちは落ち着いていて、ハルと海底を脱出した時のような、確信のようなものを感じていた。

たぶん…ロイズは、この人をとても信頼していたんだろうな…ふと、そんな事を思った…