「え…そうだったんですか…」

そんな恐ろしい事を、今頃思い出さなくても…

もし本を置いて来なかったら、今頃自分は…

「ええ〜だってそのシステム作ったの、私ですからね〜本当、申し訳ありませんでしたね、深谷君…私ももっと早く思い出していたら、あんな事には…」

柔和な笑みを浮かべて、戸川先生は…もとい、大魔法士ルドが謝っている…

何だか、いろいろな事がやり切れない気分だ…あなたは昔から、そういう人でしたよね…

「…そんな事は、どうでもいい…先生、いったいどうやって、図書館から脱出したんですか?しかも、僕らより先に戻って来るなんて、不可能です」

…山形さんにとっては、どうでもいい事らしい…

「そうですね〜フツーに考えると不可能ですが、私が大魔法士ルドであった事が幸いでした…」

「魔法で外に出たんですか?」

山形さんが、首を傾げた。