校舎の建っている場所は昔、自然の花畑だったらしく「花咲学園」の名前の由来になっているらしい。

本当かどうか知らないけど、うちの学校に木々や花が多いのは確かだ。

それからもう一つ…図書館が敷地内に独立して建っている所が、この学校の特徴だと思う…



「あれ？深谷君、今日図書委員だったっけ？」

司書の先生が自分に気づくと話しかけてきた。

広さは、ちょっとした市立図書館並で…西洋と近代を合わせた作りの入り口は木とガラスの二重の自動ドアになっていて、入るとすぐに図書カウンターがあった。

「いいえ、今日は本を返しに…」

カバンから借りていた本を出すと、司書の先生に手渡した。

「朝早くから、ご苦労様〜はい、おあずかりします」

先生は本にはってある、バーコードを読み取っていく。本は全てコンピュータ管理されていた。

「先生…その本の後編、返却されていますか？」

「ん？ちょっと待ってね…うーん、まだみたい。でも今日が返却日だから、返って来るんじゃないかな…予約する？」

「…いいえ」

少し考えてから答えた。
別に急ぎというわけではないし…