「はぁはぁはぁ…」

その表情は、とても苦しそうだ…

「ムリしてしゃべんなくて、いいですよ…」

自分は苦笑しながら腕に力を入れると、何とか上半身を起こす事に成功した。

初めて魔法を使って地上に戻った時と同じく、えらく体力を消耗していて、立ち上がる事はムリだった。

すぐ後ろで倒れている高田さんは、途中で意識を失ったらしく、水を飲み込む事はなかったみたいで、その顔に苦痛の色はなかった。

改めて床を良く見ると海水は完全に引いていて、どこからともなく温かい風が自分達の上に吹き始めていた。

「…高田さん…大丈夫ですか?」

眠っているみたいな、高田さんの肩を軽くゆすってみた。

「…う…ん…」

しばらくして反応があり、ホッとする…

安心したせいか、体中が疲れていたせいもあり、自分はもう一度、今度は仰向けに寝込んだ。

そして現状を把握した瞬間…胸を襲ってくる痛みに耐えられず、右腕で顔をおおった。