目の前には、岩山にカモフラージュされた研究所があり、山形さんが岩のすき間に乗り物をしまっているのが、目に入りました。

後ろをふり返ると、海底の世界が広がっています…

出発する前と変わらない、美しい海の世界です…

生島君がふり返って、中に入りましょうと言いました…

言われるままに、彼らに着いて行くと…山形さんと生島君が、研究所の入口であろう岩の前で、何かを話し込んでいます…

どんなに辺りを見渡しても、私達の他に人は見当たりません…

魚の群れが行き交い…今日の海底は、とても穏やかで静かに時を刻んでいます…

音のない世界に私の意識が混じり合って行きかけた瞬間、生島君の声が私を現実へと引き戻しました。

「…さん、高田さん、大丈夫ですか?」

「え…あ…はい…」

「高田さん、問題が発生しました…ちょっと危険な状態です…」