秋に骨董市が開かれるので「ご一緒に、いかがですか?」と誘われましたっけ…

もちろん、是非お供しますと返事をして…それから…



「…高田さん、着きました…大丈夫ですか?」

私はワントーン低い山形さんの声に気づいて、我に返りました。

周囲を見渡すと、私達は無事に研究所まで戻って来ていました。

頭の中がボーッとして、現状把握にしばらく時間がかかりましたが、山形さんの言葉の意味を理解すると答えました。

「…はい、大丈夫です…」

心配そうに山形さんと生島君が、私を見ています…

「…実は僕、そろそろ息がリミットなんですよ…ハル君は?」

「オレも、そろそろヤバイかも…」

立ち上がると、確かに息苦しさのようなものが徐々に、胸の辺りから上がってきていました。

「高田さん、これ片付けるんで降りてもらえますか?」

「あ、ああ、これはすみませんでした…」

あわてて乗り物から降りると、私はその場をボンヤリと眺めました。