当初…私は戸川先生の事を、私達夫婦には授からなかった、子供のように感じていました…

気が小さく心が弱い私に、先生はナゼか優しく接してくれました。

それは不思議と、友情のようなものへと変わっていき…私達はいつしか、お茶飲み友達になっていました。

戸川先生はお若く、男子生徒からの人気も絶大な方でした…


ある事をキッカケに、戸川先生はヒマを見つけては、用務員室に遊びに来てくれるようになりました。

私は大変嬉しくて、妻に先立たれた寂しさを、いつしか忘れていました…

とは言っても、戸川先生が妻の代わりとか、そういうのではなくて…

えーっと…自分でも説明出来ないのですが、戸川先生には、敬愛のような気持ちを私は勝手に感じていた訳で…

記憶の中によみがえるのは、穏やかで楽しいものばかりです…

ちょうど夏休みに入る前に、戸川先生の趣味が骨董屋めぐりだと聞いて、盛り上がったのを思い出しました…