…気づいたら私は、あの乗り物に乗せられて海の中を移動していました。

周りを見渡すと、戸川先生と深谷君の姿がありません…

そして私は、思い出しました…うな垂れている生島君の姿を見て…いら立ちを隠せない山形さんの背中を見て…

ああ…何て私の心は、弱いのでしょうか…

いつもそうでした…私は…いろいろな事が受け止められなくなると、いつも意識をどこかへ飛ばしてしまうのです…

山形さんと生島君は、お若いにもかかわらず、ちゃんと現実を受け止めて、必死に耐えているというのに…

私は恥ずかしくて顔を上げる事が出来ませんでした。

残して来た二人の事を…戸川先生と深谷君の事を思うと胸がつぶされる思いで、意識がまた飛びそうです…



周りの景色など目に入る訳もなく、私達は誰も一言も話さずに研究所へ急ぎました。

途中、何度も戸川先生の顔が浮かんできて…頭をふっても消えません…

先生の笑顔ばかりが浮かんで、私の意識は戸川先生と出会った頃の事を思い出していました。