ごちゃごちゃになっていた意識が一瞬クリアーになり、私はお手上げとばかりに両手を挙げました。

「…戻りますか?」

「それはムリですね〜一度あのセンサーに引っかかった人物は、入口から外へは出れません」

「…先生だけでも、元の世界に帰って下さい」

「…深谷君、私はこれでも一応教師ですよ〜?生徒を見捨てろと?」

「…」

その時、天井がドンドンと叩かれる音がしました。

「深谷君?!修子ちゃん?!そこにいたら返事して!」

「ハル…時間は?山形さんと高田さんは、戻って来てる?」

深谷君は落ち着いた声で、そうたずねました。

「良かった〜二人ともここにいるよ。それよりも急いで!時間は、残り10分を切ってる…」

生島君が心底安心したように大きなため息をつくと、そう言いました。

「二人とも、どうかしたんですか?」

心配そうな高田さんの声も、天井から聞こえてきました。

「…もしかして、緊急事態ですか?先生」

山形さんの問いに、私は答えました。