ロイズは本を胸に大事に抱きかかえると、入って来た扉から出て行こうとしました。

その時です…扉の1メートルほど手前の床に、一本の赤いラインが目に入りました。

良く見ると、そのラインは床から壁へ描かれ、そのまま天井まで、ぐるりと伸びているではないですか…

まるで現代で例えると、ビデオショップのアレにそっくりです。

未清算のビデオに反応する、アレですよ〜アレ!

まさに深谷君が、そのラインを越えようとした時、゙ブーブーブー゛という音が鳴り出したのです。

「あっ」

私と深谷君は同時に悔恨の声を上げて、目を合わせました。

「どうしたの?大丈夫、深谷君?!」

生島君が心配して、扉を叩きました。

「…ごめんハル、先に上に戻ってて…」

「え?どうして?」

「この扉からは、本を持ったまま出て行く事が出来ないようになっているんだ…別のルートから上に出るから…」