そう言えばフレアには、このフロアは入って来れませんでしたね〜

「どうしたの?ハル」

ロイズは本を探す手を休めずに答えました。

「時間!ごめん、うっかりしてたよ。もう30分過ぎた!そろそろ戻った方がいい」

私達はハッとしました。

そう言えば私達はダイバーウォッチなどという、シャレた時計など持っていませんでしたねぇ…

「先生!見つけた…」

深谷君が、ある一冊の本を私に差し出しました。

その本のタイトルは『上級魔法の異例集』と書かれていて、目次に目を通すと(私、文字普通に読めていますねぇ…)『上級魔法の重ねがけに起こる、いくつかの症例』という文字が目に飛び込んできました。

まさに探していたのは、この本です。

嬉しさのあまり、ロイズの顔を見ると、静かにうなずいて私を見返しました。

私達は興奮のあまり、うっかりある事を忘れていました…

いえ、正確にはその時点で、そんなシステムがあった事を忘れていたのです…