「…かなり所々…断片的だけど…」

深谷君に重なってロイズの姿が、そう語っています…

ああ…あなたは生まれ変わっても、ぜんぜん変わらないんですね〜…

私は、しみじみと感慨にふけりました。



「…では、行きましょうか、先生。もうお二人は先に行かれましたよ?」

ふと気づくと、柔らかい笑顔を浮かべた高田さんが、私に手を差し出していました。

「お先にどうぞ…気をつけて下さいね」

ロマンスグレーの紳士、高田さんが私の手を取ると、足元に現れた図書館の入口へと、エスコートしてくれました。

下をのぞき込むと、ラセン階段が下へ下へと続いているようです。

本で書かれてあったそのままで、階段を一歩づつ降りて行くと暗いという事はなく、むしろ明るさを感じました。

私は周りのひんやりとした円筒形の壁に手をかけながら、ゆっくりと降りて行くと、後ろから少し遅れて高田さんが降りて来ました。