柱も当時のまま残っているものはわずかで、地面に倒れ崩れ落ち、おそらくあったであろう回廊の屋根は跡形もありません…

ここで何が起こったのか…想像するには充分です…

膨大な時のしわざと考える事も出来ますが、このフレイヤース宮殿は強力な結界で守られていたハズです…

しかし今日まで、この宮殿の存在が人目に触れずにいたのは、かすかすにでも結界が残っていたと考えるのが自然ですか、ねぇ…



「先生、この辺だと思うのですが…」

物思いにふけりながら、崩れかけた廊下を歩いていた私に、深谷君が声をかけてきました。

長い夢のつづきを見ているように、私は足元に視線を向けると、美しい光沢を放つ床があるではありませんか…

いつの間にか、記憶の中に入り込んでいたようです…

「ええ〜ここですね、ロイズ…この場所は壊れてなくて幸いでした」

現実と前世の記憶が交錯しているらしく、私の目の前にはロイズがいます。