「よろしければ、皆さんもご一緒に入って頂けますか?」

宮殿をバックに、私は海底探検の思い出になるようにと、一枚おさめました。
日付もちゃんと入って、完璧な仕上がりです。

無表情な深谷君が一つため息をつくと、私に聞きました。

「先生…図書館は無事だと思いますか?」

「ええ〜私もそこへ行きたいと考えていました…」

「え?修子ちゃん、思い出したの?」

「そうですね〜私が大魔法士ルドであった事は、確実に思い出しました…でもまだ、その程度ですが…」

「ほぉ、やっぱり戸川先生はルドでしたか!素晴らしい…お会い出来て感激です」

本の登場人物に会えたのが嬉しいらしく、高田さんから握手を求められました。



宮殿の入口をくぐると、高い天井の三角屋根の崩壊したすき間から青い海がのぞいて、魚達が泳いで行くのが見えました。

宮殿の白い石で出来た床は所々崩れ落ち、建物は端に向かうほど壊れ具合がひどくなっています…