僕は今までで一番、鮮明に前世の記憶を思い出していた…


目の前に見えるのは、どこにも…一つも壊れてなどいない美しい彫刻が施されたフレイヤース宮殿と、眼下に望むのは、フレイヤースの活気に満ちた街並みだった…

にぎやかな通りを人々が行き交い、海の中をセーバーと魚達が行き交う…美しいさんご礁が花畑のように、街や宮殿を飾っていた…

海底の水は透明過ぎるぐらい清らかで、ここが海の中である事を忘れる…

生命が満ちあふれた海の楽園が色鮮やかによみがえり、その真っ只中に僕はいた。

知らないうちに涙がこぼれて…涙はすぐに海の中に溶けて交じり合っていく…

そして僕は、ハッと息を飲んだ…

すぐ横を金髪の、長いウェーブの髪の少女が通り過ぎるのが目に入り…穏やかな笑みを浮かべた少女は、淡い黄緑色の美しい瞳をしていた…

「ユラ〜早く行こうよ。ロイズが待ってる〜」

差しのべられた小さな手が、僕をさらに深い記憶の底へと誘っていった…