「ええ、時間短縮にいいかと思いまして…という事で深谷君、よろしくね♪」

「…え?」

深谷少年が僕を見て、眉間にしわを寄せた。

「グダグダですね〜山形さん」

ハル君が穏やかな笑みを浮かべて、僕の肩に手を置いた。

「安全第一でしょう?」

僕は笑顔で返した。

「…たぶん宮殿まで、自動操縦がセットしてあるから…皆さん乗って下さい…」

深谷少年がパネルをチェックすると、一番はじめに乗って操縦席に座った。

「ワクワクしますね〜」

「そうですね〜」

高田さんがニコニコしながら乗り込むと、戸川先生の手を取ってエスコートした。

僕とハル君も、高田さんと戸川先生の後ろに乗り込むと、あぐらをかいて座った。

…そう、この乗り物には座席のようなものはなく、平らなセーバーの上に腰を下ろすという、シンプルな乗り物なのだ。

「おっけ〜深谷君、頼むわ〜」

僕が合図をすると、深谷少年がふり向かずにうなずいた。