「…懐かしいでしょ?ロイズ」

セーバーの前で、あごに手を当てて見ている深谷少年に、僕は話しかけた。

「ええ…」

水中の移動手段として、海底の王国で使われていた乗り物の形は、エイの姿に良く似ていた。

この大きさのものだと、4・5人乗りで、操縦席にはシンプルなコントロールパネルのようなものがついている…

「…山形さん、これ動くんですか?」

「やってみないと、分からないでしょ?」

そう言って、僕はコントロールパネルの作動スイッチを押した。

するどヴァン゛…と起動音を立てて、コントロールパネルに明かりがともり、ゆっくりとセーバーが地面から20センチほど浮上した。

「おお…これはスゴイ…感動です!」

「まさか、これに乗れるとはな〜」

高田さんとハル君は、子供のようにはしゃいでいる。

「これに乗って行くんですか?」

撮影を終えた戸川先生が、質問してきた。