一歩建物の外に踏み出すと、海底の世界が360度広がっていた。

海底の柔らかい砂地の感触…
青い青い、むしろエメラルドグリーンに近い青に自分が溶けていく感覚…

さんご礁の群生…色とりどりの魚が行き交う美しい世界…

夢にまで見た世界に感動のあまり、言葉を失った。

「…山形さん…この後どうしますか?自分が思い出したのは、ここまでです…」

深谷少年が、無表情に僕の顔を見上げて言った。

「ごめんごめん、ここからは任せて!えっと…たぶんこの辺に…」

後ろをふり返ると、研究所の全貌を眺めた。

そこにあったのはドーム型の建物ではなく、巨大な岩山だった…

ああ、夢で見た通りで嬉しくなってくるなぁ〜



岩と岩のすき間にピッタリと収まるように、白い物体が収納されていた。

僕はそれを慎重に引っ張り出すと、パールの光沢に包まれたそれを地面に置いた。

意外に軽い…