…帰ったら、編集長に速攻電話だなぁ…

「だよね?現に深谷君は、試そうとしてたし…」

「ハル、それは…」

「まぁ…とにかく、それは帰ってからという事で…」

柔和な笑顔で、高田さんが話を変えてくれた。

「この先、どうするんですか?」

その質問は、目の前の白い壁が静かにスライドして行く事で、答えとなった。

扉の向こう側は、海水で満たされた世界だった…

大気が完全になくなった、こちらの部屋の海水と自然に混じり合っていく…

目の前に現れたのは、半円形のゆるやかなカーブを描いた長い廊下だった。

やっぱり、ほの明るく…窓のないその廊下は、床も壁も天井も白い素材で出来ていた。

「…行きましょうか…」

気を取り直して、僕は先へと進む事に気持ちを切り替えた。

「ハル…タイマーかけれる?」

深谷少年がハル君の左手にしている、ダイバーウォッチを見ながら言った。