「やっぱりダメか…オレも試したんだけど、さっぱりでさー」

ハルはあきらめて、ソファーへ戻ると寝転んだ。


何の解決策も見つからず、沈黙が続く中…自分はさっきから、ある本が頭に浮かんで、しょうがなかった。

…いや、そんなまさか…でも似過ぎている…

もしそうだとしたら、助かる可能性があるかもしれない。

…もしも、あの本に書いてある事が事実だったら…?

そんな事を考えながら…自分は一面に広がる海底をにらんでいると、ハルが突然起き上がり口を開いた。

「深谷君…オレさっきから気になってる事があるんだけど、いいかな?」

「…?」

「…もしかして深谷君…この間、初等部の演奏会で、チェロ協奏曲のソロやってなかった?」

…何を思い出したかと思えば…

「…うん…初等部のオケ部に入っているから…」

「やっぱり!その演奏会すごく良かっよー、ソロなんてすごいなー深谷君」

「…ハルは、何かやってないの?」

「ん?オレは、ジャズ部でサックス吹いてるよー、今度ライブやるから見においでー」