「私じゃないよ! だって不正アクセスなんて、どうやるんだか知らないもの!」


 真純が慌てて否定すると、瑞希は目を伏せて軽く息を吐く。


「あんたじゃない事は分かってるわよ。あんたのアリバイは立証されてるもの。二回目の時、あんたは二階のカフェで私と会ってたんだから。カフェの従業員も証言してくれるわ」


 自分の無実が証明された事に、真純はホッと胸をなで下ろす。
 それと同時に、別の不安が胸の中を支配した。

 それを見透かしたように、瑞希は真純を見据える。


「あんたじゃないなら、誰だか分かるでしょ?」


 真純が留守の間、家にいたのはシンヤだ。

 だがあの日、シンヤはクライアントに呼び出されて出かけていた。
 その隙に誰か別の人間が、忍び込んだのかもしれない。
 それを話すと、瑞希は呆れたように首を振った。