「勝手に都合よく話をねじ曲げないで。しようとしただけで、してないから」


 かすめたかもしれない事は黙っておく。

 シンヤは呆けたようにホッと息をつく。


「あ、そうなんだ」


 そしてニッコリ笑って、掴んだ腕を引き寄せた。
 真純は抗う間もなく、シンヤの腕の中に捕らえられる。


「じゃあ、やっぱり、ちゃんとキスしたい」
「だから! 別にしなくていいから!」


 抵抗すればするほど、シンヤはきつく抱きしめる。


「でも、したいからする。僕、真純さんが好きだし」


 そんな、ついでのようにサラリと言われても、信用できない。