翌朝いつもより遅い朝食を摂り、リビングでテレビをつけた。
朝のワイドショーでは昨日瑞希が言った通りに、辺奈商事が大規模システム障害で臨時休業だと大げさなほどに騒いでいた。
テレビ画面には見慣れた本社ビルが映り、二階のカフェへ直通のエスカレータも止まり封鎖されているのがわかる。
来なくていいと言われたが、瑞希の様子を見に行こうと思っていた。
でもこの様子じゃ行かない方がいいだろう。
テレビ画面を見つめたまま、シンヤが独り言のようにつぶやいた。
「なんとしても今日中に社内システムとハルコを切り離さないと。明日まで延びたら、よけいに騒がれそうだ」
「うん」
「課長、もう来てるよね?」
「ていうか、帰ってないと思う」
もしかしたら、瑞希は寝てないかもしれない。
そう思うと、少しだけとはいえ、自分だけぐっすり寝てしまったのが申し訳ないような気がした。