サイバー攻撃。
 話には聞いたことがあるが、どんなものだか真純にはピンと来ない。

 何をやるのか尋ねると、シンヤは笑いながら答えた。


「時々ニュースで話題になってるでしょ。地震や事故があった時、アクセスが集中してケータイが通じなくなるやつ。あれをわざと起こすんだよ」


 アクセスが集中して一度に大量のデータ処理を要求されると、コンピュータの処理が追いつかなくなり、システムはダウンする。

 シンヤはバックドアを仕込んだ約五百台のマシンを利用して、同時に大量のデータを送りつけシステムダウンを目論んでいるらしい。

 確認済みのマシンには、すでに時限爆弾を仕込み済みだという。


「でもハルコってものすごい化け物コンピュータでしょ? 通用するの?」
「ターゲットはハルコじゃない。ハモスだ」


 ハモスはハルコのネットワーク管理と監視を司るコンピュータの通称らしい。
 ハルコへのアクセスはハモスを経由しないと行えない。
 つまり、ハルコもハモスを経由しないと外部へのアクセスはできないのだ。