その日の午後から進弥は自宅勤務となった。
リスクを伴う極秘任務のため、会社のマシンやネットワークを使用するわけにはいかないからだ。
課長が必要ならとノートパソコンの貸与を申し出てくれたが、ツールなどが入ったままになっている自分のパソコンの方が使い勝手がいいので断った。
高木リーダーを始め、社内の人たちには課長が適当に説明してくれるという。
残務の引き継ぎが終わると、進弥は家に戻った。
玄関の扉を開けた途端、真純が立っていて進弥は驚いた。
「あれ? 出かけるの?」
「ううん。おまえが帰ってくる気配がしたから」
「気配って……」
真純は本当に猫なんじゃないかと時々思う。
実家で昔飼っていた猫も、進弥が帰ると玄関で待ち構えている事がよくあった。
「ただいま」
「おかえり」