路上に放置された荷物の側で、真純(ますみ)は青年の帰りを待った。

 大きめのショルダーバッグと、パソコンが入っているらしいブリーフケース。
 荷物は出張中のビジネスマンのようだ。
 しかし彼の服装は、そうは見えない。

 ジーンズにスニーカー、Tシャツの上に半袖シャツを羽織っている。
 ビジネスマンだとすると、休日出勤中といったところだろうか。
 だが、今日は休日ではない。

 見た目は二十代前半。
 しかし学生には見えない。

 今夜寝るところがない、というのも気になる。
 でも犯罪者のような危険な香りもしない。

 彼がどういう奴なのか興味が湧いて、家に泊める事を了承してしまった。

 彼は焦っていたが、お世辞にも女らしいとは思えない自分が相手では、そういう危険も皆無と言っていいだろうと、真純は確信していた。

 少しして彼がコンビニから帰ってきた。

 釣り銭とレジ袋を渡され、真純は早速袋の中を覗く。
 中に入っていたビールを見て、思わず声が弾んだ。