約束の週末が来た。

 朝からカラッと晴れて、絶好の花見日和だ。

 あの日から真純は、部屋に鍵をかけなくなった。
 最初の二日は、夜中に進弥の部屋を覗きに来た。

 不安で眠れないならと、以来一緒に寝ている。
 ただ一緒に寝るだけ。

 それでも、自分の腕の中で眠る真純が、安心した表情で寝息を立て始めると、進弥も満足できた。

 三日経った今では、真純もすっかり元通りに素っ気なくなった。

 今夜は自分の部屋で寝るのかもしれない。
 そう思うと、ちょっと寂しい気もした。

 進弥が物思いにふけっている間も、真純はいそいそと花見の準備に余念がない。

 トイレがないので、そんなに長居は出来ないが、一応酒とつまみを持って行こうという事になった。

 花見といえばビールだろうと主張する進弥に、だからこそ意表を突いてワインだと真純は言い張る。