「あぁ、ごめん」


 進弥は立ち上がり、彼女を見下ろす。
 頭が進弥の胸辺りまでしかない。
 随分と小さい女の子だ。

 進弥の視線に気付いて、彼女は目一杯首を上向けて睨む。


「何?」
「タバコ買うの?」


 進弥が問いかけると、彼女は思いきり不愉快そうに言う。


「悪い?」
「悪くはないけど、買えないと思うよ」
「未成年じゃないよ。このカード、私のだし。見た感じ、おまえの方がずっと年下だと思う」


 彼女の突き出したカードには、彼女の顔写真が印刷されていた。
 タスポを持っているという事は、間違いなく成人らしい。