「真純さんって会社で恐れられてるの?」


 夕食後一緒にテレビを見ながら、シンヤが問いかけた。

 なぜ唐突にそんな事を聞くのか不思議に思い、真純は問い返した。


「さぁ……。なんで?」
「高木リーダーが、怖くないのかって聞いてたから」
「あぁ、高木くんには恐れられてるかもね」


 高木は真純よりも二つ年下で、プロジェクトのチームリーダーを任せられる立場にありながら、遅刻の常習者だ。
 真純が知る限り、午前十時より前に来た事がない。

 高木チームのデータ入力を担当した時、彼の遅刻のせいで何度となくぼんやりさせられたので、その度にうるさく説教したのだ。

 瑞希にも注意は受けていたはずだが、それでも改善される事はなかった。
ある意味強者だ。

 ただ瑞希が言うには、研修や取引先との打ち合わせなどには、遅刻した事がないらしい。
 ちゃっかりしている。