部屋に散らばっていた荷物をまとめてバッグに詰め込み、進弥は力なくベッドに座った。

 ひざの上でノートパソコンを開き、メールをチェックする。

 あれ以来、あいつからメールは来ない。
 廃棄しようと思っていたが、真純の事を考えると、念のため残しておいたのだ。

 今日も来ていないようだ。
 進弥はパソコンを閉じて、ブリーフケースに片付けた。


「私が戻るまでに出て行って」


 そう言い残して、真純は進弥の制止を振り切り、家を出ていった。

 しばらく身を隠せればいい。
 正体がバレたら、ゲームオーバー。
 そうなる前に出て行けばいい。
 最初はそんな軽い気持ちだった。

 やけにあっさり家に入れてくれたので、若い男と遊びたいだけの軽い女だろうと思った。
 ほんの少し好意を見せれば、簡単に誘いに乗ってくるだろうと。