裕輔の顔がぼやけて見えた。 
 
「ゆ・・裕輔・・・私どうしたの?」 
 
「倒れたんだよ」 
 
優しい笑顔だ。 
 
『ガチャッ』 
 
ドアが急に開いた。 
 
「あら?起きたの?裕輔君ねずっと夕美についててくれたのよ」 
 
お母さんは音を立てながらコップにジュースを注いだ。 
 
「あっ!俺いいですよ、帰りますんで」 
 
裕輔は立ち上がった。 
 
「玄関に靴が無かったけど?」 
 
「あっ!!えーっと・・・さよなら!!」 
 
裕輔は私の部屋を出た。 
 
「あっ!!もージュースぐらい飲んでったらいいのに・・・・」 
 
お母さんは溜息をついた。 
 
「じゃあ私が飲むね」 
 
私はコップをヒョイッと取り、乾いたのどを潤した。 
  
「じゃあ安静にしてなさいよ」 
 
お母さんはそう言うと私の部屋から出て行った。