――彼と出会ったのは、高3の夏だった。

私は車の免許を取るために、
教習所に通っていた。

私の通っていた教習所は
担当制で、そのときの私の
担当の教官が、彼、金原広道だった。

最初は彼に対して
特になにも思わなかった。

しかし、彼と2人で車に乗っているうちに、だんだんと彼に惹かれていった。

いわゆる、“教習所マジック”っていうやつだろうか。

金原先生には何故か何でも話すことができた。

先生には、出会った人の心をすぐに開かせられるなにかがあった。

歳は50歳と私より32歳も年上だったけれど、まるで友達と話しているみたいで、話していて楽しかった。

教習の時間はあっという間に過ぎた。