家に着くと
同じ団地に住んでいる
嶋田さんとすれ違った
「あら、結ちゃんこんにちはっ」
「あっ嶋田さん、こんにちはー」
嶋田さんは
朝田家が団地に越してきて以来の仲で
母とはずっと友達で
とても話しやすい
「麗ちゃん、今日も朝までどっか行ってたみたいね」
「えぇ、そうなんですよー
母から何か聞いてないですか?」
「ううん、何も
そういうことはあたしにも話してくれないからねー…
あ、あたし息子の学校に行かないとだめだから
バイバーイ!」
嶋田さんは
ふくよかな体を左右に揺らして
階段を降りて行った
家に入ると
ちょうど陽が部屋から出てきていた
弟の姿を見るのは
3日ぶりだ
「陽…!」
「うん…」
ガチャ
陽はすぐに部屋に入ってしまった
陽の食べ終わったあとの食器が
台所にある
洗い物は後にしよう
頻繁に洗うと手が荒れる