一からなんて言うなよ。

今まで何年も、別れた彼氏とやらより長く深く付き合ってきた俺は候補にも入っていないのかよ。

腹が立って、憎まれ口しか出なくなる。

「確かに。売れ残り予備軍だな」

「うるさいなー。沢田くんだって同じじゃない。彼女いないくせに」

「俺は違うよ」

「はぁ?」

「男は30からだし。これからこれから」

「何それ。男ってズルい。つーかそしたらまだまだじゃん」

君はこれからどんどんその美しさを失っていく。

唯一の武器である、美しさを。

だから、今のうちに俺の元へ。

わがままで自己中で自信過剰の君を唯一愛せる俺の元へ来れば良い。

そう思っていたけれど。

「あたし、沢田くんの彼女になろうかなぁ」

この言葉に、俺はなぜか深く傷ついた。